主催:朝日新聞社、朝日新聞出版
- 会期
- 2025年4月25日(金)~5月8日(木) 11:00~19:00
【事前予約制・人数限定】ギャラリートーク開催のお知らせ(参加無料)
閉館後に、事前予約制の人数限定で長沢慎一郎氏のギャラリートークを開催します。
オンライン予約による先着受付順(23名)です。
ゲストは岩根愛氏(第44回木村伊兵衛写真賞)、モデレーターは写真編集者の池谷修一氏です。
開催日時
- 2025年4月28日(月) 19:15~20:15
ゲスト:岩根愛氏(写真家)申し込む
開催場所
ソニーイメージングギャラリー 銀座 (銀座プレイス6階)
※予約受付は、 Peatix Japan株式会社のサービスを使用します。そのため、外部サイトPeatixのウェブページに遷移します。
Peatix登録時の個人情報の取り扱いに関しましては、 Peatix 個人情報保護方針ページをご参照ください。
- 受付はPeatixでご自身の分のみ可能です。複数名分の予約や、電話での受付、ギャラリーでの直接の申し込みはできません。
- 定員に達し次第予約の受付は終了となり、キャンセル待ちは行いません。また、予約のないお客様はご参加いただけませんので、予めご了承ください。
- Peatixでのお申込みを確認できるもの(スマートフォン等の画面、プリントアウト等)をご用意ください。
- 19時以降はエスカレーターをご利用いただけませんのでエレベーターで6階までお越しください。
- トーク中は記録のため動画撮影を行い後日公開します。
- 写真撮影は他のお客様にご配慮しながらお願いします。(動画撮影、録音はお断りさせていただきます)
- トークが終了次第閉館となりますので、速やかにご退出ください。トーク終了後には展示をご鑑賞いただく時間がありませんので、事前または別の日にご鑑賞くださいますようお願いします。
- お申込後ご都合が悪くなってしまった場合は必ず申込サイトよりキャンセルをお願いいたします。
【選考委員のことばを全文掲載!】第49回木村伊兵衛写真賞は長沢慎一郎氏が受賞(AERA DIGITAL)
Mary Had a Little Lamb(メリーさんの羊)
ロシアによる核の脅威を受け、ヨーロッパでは「核の傘」の拡大が議論され、核軍縮に逆行する動きが出始めている。核による悲劇が再び繰り返されるのではないかという不安がよぎる。
第二次世界大戦後、アメリカは「抑止力」という名のもとに世界各地へ核兵器を配備した。その一つが、日本の小笠原諸島・父島にあった。戦後23年間に及ぶアメリカ海軍による占領の下、この島には秘密裏に核弾頭が配備され、その核貯蔵施設には「Mary Had a Little Lamb」という名がつけられていた。広島・長崎に投下された原子爆弾が「Little Boy(リトルボーイ)」「Fat Man(ファットマン)」と呼ばれていたのと同様に、気まぐれで無邪気な名前の裏には恐ろしさが潜んでいる。
私は2008年から、無人島だった父島に最初に入植した欧米系島民の子孫たちを撮り続け、2021年に彼らのアイデンティティーをまとめた『The Bonin Islanders』を発表した。彼らは占領時代に父島へ戻ることを許された数少ない人々である。「空白の23年」ともいわれるこの時代の出来事を知るには、彼らの記憶を頼るしかない。父島の核兵器配備についても、当時島にいた欧米系島民の証言をもとにアメリカの研究者ロバート・ノリスらが明らかにした。私自身も彼らとの交流を通じて、核の配備や貯蔵施設の存在を知ることとなった。
戦時中、要塞島となった父島には、地下壕や大砲跡など多くの戦跡が残存している。しかし、それらは今、時間と共に朽ちつつある。約半世紀前にアメリカ軍が去り、かつて核弾頭が貯蔵されていた施設も今は空となり、そこには、ただ「虚」だけが残されていた。私はその場所に宿る記憶に光を当て、問いを投げかける。今なお続く核の脅威と向き合うための視座として。
長沢 慎一郎